活動案内

Japan Drone 2021参加報告

  • 2021.7.5

6/14(月)から16(水)に幕張メッセで開催されましたJapan Drone 2021に関してその様子を報告します。

CerTCASのパネル

CerTCASの活動を紹介するパネルが、航空機イノベーション推進協議会(AIDA)のブースに展示されました。

Japan Drone 2021の様子

  • 出展企業・団体は 100社強で規模は大きくないものの各ブースとも活況を呈しており、各ブースで説明員の話を聞いている光景があちらこちらで見られた。
  • ドローン機体を開発している企業のブースが目についたが、ドローンを使ったサービスを提供する企業、ソリューションを提案する企業・団体のブースが更に多くみられた。
  • 特に大手携帯電話会社 3社が自社の基地局を拠点に位置情報を提供する拠点を設置し、衝突回避などの全国的なネットワーク作りに向けた取組みが活発に行われていた。
  • ドローン運航に関しての認証・規格取得に関する 組織 ・団体が 10社程度あり、 企業・個人を合わせて1,000人近い会員を集めている団体もあり、組織運営・会員獲得に関してのノウハウが確立されている感じあり。
    (シンフォニアテクノロジー株式会社 須原)

国際コンファレンス

同時に行われた国際コンファレンスに参加しましたので、その中でいくつかの講演、パネルディスカッションについて紹介します。

米国におけるUAS統合施策の概要

FAA Jay Merkle氏
FAAでは無人航空機の認証に当たってはrisk based strategyを採用しており、まずリスクの低いオペレーションを統合し、順次、複雑でリスクの高いオペレーションを統合していくこととしている。併せてoperation first approachを掲げて、ドローンを実際に飛行させて運用承認プロセスから得られた教訓(lessons learn)をもとによりよいルール作りへとつなげている。
14 CFR Part107が小型UASの最初のルールとして2016/8/29からに効力を持っており、55lbs以下の小型UASによる、商用、趣味、政府のオペレーションに関してフライトが可能となった。
LAANC(Low Altitude Authorization and Notification Capability)を制定し、400ft以下のドローンの飛行をパイロットに提供できるようにした。パイロットが飛行計画を申請すると数秒で決済され、飛行が登録される。これによりドローンがいつ、どこで飛んでいるかを把握することが容易になった。このUAS Traffic Management(UTM)は 航空機の安全を守るAir Traffic Management(ATM)を補完するシステムとして重要である。今後、産業界と連携して、産業界がUTMというエコシステムのオーナーになることを望む。
Remote Identification (ID)は、BVLOS、荷物の配送、混雑した低高度空域でのUTMの一環として欠かせないものである。2021/1/15にfinal ruleを制定し、2021/4/21から有効となっている。2022/9/16から製品に準拠させ、2023/9/16から実際の運用に準拠させる。
第三者上空でのオペレーションに関して2019/2/13にNPRMを提出しコメントを求めた。2021/1/15にFinal ruleを制定し、2021/4/21から有効となっている。これによりPart107が改定され第三者上空、移動するビークルの上空、夜間のオペレーションが可能となった。
Advanced Aerial Mobility(AAM)は、Urban Air Mobilityの発展形ではあるがurbanに限らず都市間のロングレンジの商業活動、荷物の輸送、公共サービスなど幅広く発展が期待される。一方で安全性とイノベーションの両立が課題である。また、社会の受容性も重要であり騒音が課題のひとつとしてある。
UASの統合はグローバルな課題であり、国際協力が必要である。現在は多くの国際機関(ICAO、JARUS、RTCA、EUROCAEなど)と協力して進めている。これらの機関が保有するベストプラクティスやlessons learnを適用し、International Partnership & Harmonizationを達成する。
<所感>
米国では無人航空機の運用に向けてルール作り、システム作りがかなり進んでいると感じた。一方でこの種のルール、システムはグローバルスタンダードに合わせることが大切であり、日本としては欧米の動きをキャッチして、適切なタイミングで日本としての考えをグローバルスタンダート制定にインプットしていく必要がある。FAAとしても国際協力が必要と言っており、多くの国際機関との連携を挙げていたが、これらの国際機関にどれだけの日本のエンジニアが参加しているのか疑問である。どうしてもこのような活動は個社や個人に任されてしまうところがあるので、日本全体としてどう対応していくかを考える必要があるのではないだろうか。
(株式会社SClabAir 各務)

End to EndのUAVデータ統合の現状とワークフローの変化について

Auterion社 Romeo Durscher氏
Auterion社は、UAV向けのプラットフォームをオープンソースとして開発、提供している。そこでは、自律的な航法の実現に加えて、オープン規格であるがゆえにペイロードアプリケーションが容易に、標準的なインターフェースでプラットフォームのサービス・データを利用することができ、機体の統合化が可能となる。その一例として、過去7年間にAuterion社が経験した公共安全を挙げ、UAVが入手したデータ(例えば視覚データ)をリアルタイムで各地に配信することができるようになり、UAVの操縦者、指揮者が現地の状況をリアルタイムで的確に入手することができ、公共安全のオペレーションを遂行することができるようになった。これは、いわばAuterion社のプラットフォームを使って機体上にエコシステムの構築を可能とするものである。
<所感>
確かにUAVの今後の運用を考えた場合、ペイロードに対して機体のセンサーが入手した様々なデータ(情報)を標準的なインターフェースで提供することができたらペイロードの開発は容易になるだろう。いわゆるオープンアーキテクチャの考え方である。具体的にAuterion社が提供するプラットフォームがどのようなものであるかを見ていないので何とも言えないが、Auterion社がいち早くその開発を進めたのは先見の明があったと言える。もしAuterion社のものが、使えるものであれば日本のドローンメーカーも使用することを考えてもよいし、もし使い勝手が悪いものであれば日本国内で統一的なプラットフォームの開発を考えても良いのではないか。今後、機体認証の制度設計が進むにつれてこのようなサードパーティーが作成したソフトウェアの認証をどう扱うべきかが議論される時が来ると思われ、その際にもブラックボックスの輸入品より日本製の方が、認証が容易かもしれない。ただ、その際もオープンアーキテクチャの設計そのものは、日本独自のものではなくグローバルスタンダードである必要がある。
(株式会社SClabAir 各務)

空飛ぶクルマの最前線(パネルディスカッション)

① パネリスト

  • 御法川学氏 (法政大学 UAM研究所長、モデレータ )
  • 福澤知浩氏 (SkyDrive CEO),
  • 中井佑氏 (テトラアビエーション CEO)、
  • 吉村源氏 (国交省・航空局・航空機技術基準企画室長 )、
  • 小御門和馬氏 (国交省・航空局・無人航空機企画調整官 )

② 内容 (安全運行・標準化の内容に限定 )

  1. 空飛ぶクルマの安全運行基準に関して、ドローン・ eVTOL・航空機 (既存 )それぞれがどのように交じり合うか、どの空域を飛ぶか、航空機との共存を検討中。ドローン・空飛ぶクルマは低空ではあるが重なる部分あり。
  2. 空の移動革命のイメージ ⇒既存の輸送手段に置き換わるべきか。新しいモビリティ⇔既存モビリティとの組合せ。今の移動手段は地上・道路・線路⇒寸断している⇒補い合う。
  3. 世界ではアーバンエアモビリティの用途が広がっている⇒日本で普及するかが最大の関心事。
  4. 日本の航空産業;航空会社・国交省が主体。 大企業・大組織の領域。⇒新しい航空;小さい団体が主体=日本では市場が小さい。
  5. 米国では団体・企業が多い、認証・安全管理当局との連携が取れている。アプローチの仕方が違う。
  6. 日本は、車⇒日本は、車⇒eVTOL⇒空飛ぶクルマへの展開、欧米では小型機⇒eVTOL⇒⇒空飛空飛ぶクルマへの展開ぶクルマへの展開。
  7. サービスを受けるのは誰? 旅客事業と貨物事業で基準が違う(国交省)、運行形態に応じたリスクの切り分けが必要⇒官民協議会で検討中。
  8. 日本は世界をリード出来るか? 自動車メーカがやり出した⇒メーカ・サプライヤを増やすために欧米に留学⇒日本に技術を持ち帰る⇒アジアに展開。モノ作りはヒコーキから?車から?アプローチが違う。航空は認証のハードル高い。部品点数多い。
  9. 国交省;エアモビリティの企画室を立ち上げた。試験飛行のガイドラインを設定し、日本の参入企業企業の支援をしている。日本で作ったものを米国へ、米国のものを日本へ。
  10. 欧米当局の基準とのハーモナイズ、日米安全協定を進めている(BASA?)。
  11. UAM品質保証システムのポイントは?安全基準が改善された⇒30年来なかったこと、画期的。
  12. 人を載せて飛ぶもの⇒モノづくりの管理基準への注力。

③ 所感

  1. UAMが世界で広がりを見せる中、日本での産業としての取組み、プレイヤー、法整備について今後益々議論が活発化され、標準化を進める上で、海外とのやり取りを当たり前のように行い、国際標準化活動に参加していく必要性を感じた。
  2. JCAB自身が国際標準化活動の必要性を感じ、民間企業に交じって認証当局として果たすべき役割、民間企業の支援をしていく意思ありと感じた。
  3. 新たなエアモビリティ―が導入されつつある中、 JCABがどのような優先順位で 対応していくのか不明な点はあるが、企業側からの要望を明確にして、密に議論をすることで対応の優先順位は上がるのではないかと 思う。
    (シンフォニアテクノロジー 須原)

我が国初のドローン国際基準と国際標準化戦略の概要(パネルディスカッション)

① パネリスト

  • 岩田拡也氏(日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、常務理事、モデレータ)
  • 馬場尚子氏(JAMSS 有人宇宙技術部技術グループリーダ)
  • 三橋正示氏(日本規格協会システム系規格開発ユニット)

② 内容

  1. テーマは ドローン・オペレータ教育に関しての国際標準化・ ISO規格制定に関する取組みに関して 。
  2. 国際標準化の意義 と は 何 か ⇒互換性の確認、相互理解、品質の担保、安心・安全の確保、技術の向上、 環境保護。
  3. 標準規格が強制力を持つには、規格が法規・規制に引用される必要あり。
  4. ドローン標準化の定義;安全の認識を高める。
  5. 業界規格⇒国家規格⇒国際規格 へと格上げされる。
  6. ドローンに関しての ISO標準化委員会; TC20 / SC 16
  7. ISO ; 1国1機関の登録 JISC (日本産業標準調査会 )⇐経産省に設置されている審議会国内審議団体⇐JSA (日本規格協会 )
  8. ハードウェア; JUAV(日本産業用無人航空機 )、SJAC、JDC(日本ドローンコンソーシアム )
  9. 審議団体;JSA(日本規格協会 )、JUIDA(日本 UAS産業振興協議会 )、JUTM(日本無人機運航協会 )(JUIDA, JUTMは後から追加された)
  10. ドローン関連 の ISO規格は 現在 30件
  11. ISO / TC 20 / SC16は開発規格⇒早く提案してリーダーシップを発揮するのが重要。WG3;運用標準、WG1;カテゴリークラス分け、WG4 UASトラフィック・管理、WG1用語集
  12. JUIDA会員になれば情報入手可能
  13. JAMSS馬場氏のコメント
    ① 無人航空機資格要件⇒基準の制定
    ② 国際標準 制定に向け 2018年日本よりプロジェクトを提案
    ③ ISO TC20 SC16 WG3にて審議⇒ 3回の審議を経て制定された
    ④ ISO23065 無人航空機の運用に関わる要員の訓練 に関する規格制定
      Annex A ; 機体重量 250g 25kg目視飛行限定
      Annex B ; 機体重量 25kg以上
    ⑤ 訓練組織 のあり形について
    ⑥ ISO23065 7章 訓練の提供 (ISO29993 2017年以降 )
    ⑦ 評価プロトコル;卒業証書の発行は必須⇒ ISOで承認を得た。
    ⑧ 各国間の調整⇒裏付けデータをもって議論することが必要⇒定量的に示す
    ⑨ 満たされないことで発生する情勢、他の国との連携、やみくもに議論してもダメ。
  14. 国際標準に求められるもの (教育分野 )
    ① 国際競争<国際協調
    ② 貿易競争<貿易促進
    ③ 安全確保、品質確保

③ 所感

  1. ドローン・オペレータ教育に関しての国際標準化への取組みであり、航空機搭載 装備品の標準化とは観点が違うところはあるが、 ISOのコミッティー活動に参加し、日本側の主張を納得して貰うために裏付けデータを提示し定量的に示し議論するやり方は参考にすべきと考える。
  2. JAMSSの馬場氏がJUIDAのコンサルとしてISOのコミッティー活動の窓口として交渉された 。 講演後、挨拶させて頂き、ISOとの交渉の経緯、苦労されたポイント、CerTCASの支援等について意見交換させて頂き非常に参考になった 。
  3. 日本規格協会の三橋氏から規格・標準化取組みについてのガイダンスがあり、CerTCASとしての国際標準化への取組みに向けて参考になった。一度個別に意見交換してみてはどうかと思う 。
    (シンフォニアテクノロジー 須原)

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